セミナー

角丸四角形:  第11回 セミナー

日時

2011129日(金)17:00-18:30

場所

静岡大学 理学部 B212号室

講師

齊藤 玉緒 博士

 

上智大学 理工学部 物質生命理工学科

演題

細胞性粘菌の子実体形成制御因子を合成するポリケタイド生合成機構

 

 

 細胞性粘菌は土壌にすむ微生物で、単細胞期と多細胞期の両方をその生活史の中にもっている。単細胞期にはアメーバとして、大腸菌などを補食して生活している。しかし、餌がなくなると集合を開始し、約10万個の細胞からなる集合体を形成する。集合体は一連の形態形成過程を経て最終形態である子実体を形成する。この子実体は柄と胞子のわずか2種類の細胞からなることから、細胞性粘菌は細胞分化のモデル生物として長年研究されてきた。

 2005年のDictyostelium discoideumのゲノム読解の終了により、細胞性粘菌の研究に新たな可能性が示された。細胞性粘菌のゲノムには40個にも及ぶポリケタイド合成酵素(PKS)遺伝子が存在する事が明らかになった。しかも、そのうちの2つはこれまでに報告のない新しい構造を持つハイブリッド型PKSであった。つまり細胞性粘菌はこれまでに報告のあるどの生物よりも多く、かつ多様なPKSを持つと考えられ、PKS研究の新たなモデルになる可能性が示された。私たちはこの新規ハイブリッド型PKSSteelyA, SteelyBと命名し、酵素の機能と産物や、その産物が子実体形成をどのように制御しているかを中心に研究を進めてきた。子実体形成制御因子としてのポリケタイドの機能と生合成経路を中心にこれまでの研究を中心に紹介したい。