セミナー

角丸四角形:  第15回 セミナー

日時

2012105日(金)17:00-18:30

場所

静岡大学 理学部 B212号室

講師

小西 照子 博士

 

琉球大学 農学部 亜熱帯生物資源科学科

演題

植物の細胞壁多糖とその生合成

 

 

 植物の細胞壁は主にセルロース、ヘミセルロース、ペクチンといった多糖から構成されており、それぞれの多糖が複雑に絡み合った構造をしている。近年ではバイオエタノールの原料ともなり得ることから、細胞壁多糖の分解や生合成に関する研究が盛んに行われている。我々は細胞壁の生合成機構を解明すべく、細胞壁多糖の中でもアラビナンに着目し、その生合成について研究を進めている。

 アラビナンは植物において細胞接着や稔性、伸長生長に関与する重要な多糖である。その構造はアラビノフラノース残基がα(1,5)で結合し、植物細胞壁中ではペクチンの中のラムノガラクツロナンIの側鎖として存在している。アラビナンの生合成はUDP-アラビノフラノースを基質とし、アラビノース転移酵素により行われる。この基質であるUDP-アラビノフラノースはアラビナン以外にも、アラビノキシランやアラビノガラクタンプロテインなどアラビノフラノース残基を含む多糖の合成にも利用されている。近年、我々はUDP-アラビノフラノース合成に関わる酵素、UDP-アラビノースムターゼ(UAM)をイネで発見した。ゲノム解読情報によると、イネには3つ、シロイヌナズナには5つ、クラミドモナスには1つのUAM相同遺伝子が存在する。これらUAMは植物間で高い相同性を持つことがわかっており、UAMの機能も植物間で保存されていることが予想される。

 今回は植物細胞壁多糖について紹介するとともに、近年のUAMに関する知見を中心にアラビナンの生合成機構について紹介したい。