セミナー

角丸四角形:  第2回 セミナー

日時

2009717日(金)17:00-18:30

場所

静岡大学 理学部 B212号室

講師

有村 慎一 博士

 

東京大学大学院 農学生命科学研究科

演題

シロイヌナズナミトコンドリアの分裂・融合とその分子機構

 

 

 顕微鏡下で細胞の中を覗き込むと、ミトコンドリアはひっきりなしに動き、また形を変えており、そのダイナミックな様子に圧倒されてしまう。この動的なミトコンドリア形態は、分裂と融合という二つの相反する現象のバランスによって決定されている。動物細胞では、ミトコンドリア分裂と融合に関与する因子が複数明らかにされ、それらがアポトーシス、遺伝性疾患などに直接関連あることが示され医学的重要性の点からも研究が進んでいる。私たちのグループは、モデル植物シロイヌナズナを用いて、植物におけるミトコンドリアの分裂と融合にかかわる因子や仕組みを解析している。

 我々はまず、逆遺伝学的なアプローチを用いて、動物や酵母との共通因子を探り、ミトコンドリアの分裂においては実際にいくつかの共通因子が存在して機能していることを証明した。しかしながら、ミトコンドリア融合に関しては一次配列からは動物や酵母との共通因子を見つけることができなかった。そもそも植物ミトコンドリアが本当に融合するか否かも明らかではなかったため、蛍光タンパク質Kaedeを用いるあたらしい融合検出系を開発し、植物ミトコンドリア融合現象の存在を証明した。次に、ミトコンドリアの分裂と融合にかかわる未知の因子を同定するために、順遺伝学的なアプローチをとった。ここでは、ミトコンドリアをGFPで可視化した植物を用いて変異原処理を行い、ミトコンドリア形態異常株を探索することで、植物特異的なミトコンドリア分裂因子ELM1の同定に成功した。高等植物ミトコンドリア分裂と融合における我々の研究成果を紹介すると共に、真核生物共通のシステム、進化についても議論したい。