セミナー

角丸四角形:  第7回 セミナー

日時

20101112日(金)17:00-18:30

場所

静岡大学 理学部 B212号室

講師

得平 茂樹 博士

 

中央大学 理工学部

演題

シアノバクテリアの細胞分化メカニズム

 

 

 シアノバクテリアは、植物などと同様に酸素発生型の光合成を行うグラム陰性細菌である。非常に多様な生物群であり、様々な形態をとるものが知られている。Anabaena sp. PCC 7120(アナベナ)は、数百の栄養細胞が一列につながった多細胞体制をとる糸状性のシアノバクテリアである。アナベナは培地中の窒素源が不足すると、ヘテロシストと呼ばれる窒素固定に特殊化した細胞を形成する。嫌気的環境を必要とする窒素固定反応を行うために、ヘテロシストは栄養細胞と全く異なる生理的・構造的特徴をもっている。ヘテロシスト分化は、窒素固定酵素の誘導という単純な現象ではなく、プログラム化された代謝・構造変換を伴う複雑な生命現象である。

 アナベナでは、1015細胞おきに1個の栄養細胞がヘテロシストへと分化する。窒素欠乏というシグナルに応答して、均一な栄養細胞のつながりであった糸状体の中から、ある決まった間隔で1個の細胞が選び出され、ヘテロシスト分化へと細胞運命が決定される。そしてその細胞においてのみ、劇的な遺伝子発現変化が引き起こされ、全く異なる特徴をもつ細胞が形成される。その分化プロセスは、窒素欠乏シグナルによる誘導からおよそ24時間で完了する。この空間的、そして時間的に厳密に制御された分化プロセスを司る分子機構が、アナベナのポストゲノム解析技術を利用して徐々に明らかにされてきている。本セミナーでは、分化誘導から細胞運命決定までの分子機構を中心に、ヘテロシスト形成メカニズムについて紹介する。