セミナー

角丸四角形:  第24回 セミナー

日時

2016627日(月)17:00-18:30

場所

静岡大学 総合研究棟 4412号室

講師

前田 宏 博士

 

ウィスコンシン大学マディソン校

演題

植物におけるチロシン合成経路の多様性進化

 

 

 固着の植物は、進化の過程で数多くの化合物を生合成する機構を獲得し、常に変化する環境に適応してきた。これらの植物二次代謝化合物の多くは、人の必須栄養素や医薬品としても、大変重要な役割を担っている。当研究室では、これら二次代謝経路へ基質を提供する一次代謝経路に関わる酵素の制御機構及びその進化について調べ、得られた知見をもとに、重要二次代謝経路への炭素フラックス供給を最適化することを目指している。

 芳香族アミノ酸であるチロシンは、タンパク生合成に必須であるが、多種多様な植物天然化合物(モルヒネ、ビタミンEなど)の前駆体としても重要である。シロイナズナを含む多くの植物では、チロシンはアロジェン酸脱水酵素(TyrAa/ADH)を介して葉緑体内で合成される。また、TyrAa/ADH酵素はチロシンによるフィードバック阻害を受ける。当研究室では、チロシン由来のベタレイン色素を多く蓄積する甜菜より、非感受性のTyrAa/ADH酵素を単離・同定した。また、大豆などのマメ科では、葉緑体局在のTyrAa/ADH酵素に加えて、非感受性のプレフェン酸脱水酵素(TyrAp/PDH)が細胞質に存在することが明らかとなった。以上の結果より、チロシン合成経路およびその制御機構が植物種によって大きく違うことが明らかとなった。本発表では、これら特性の異なる酵素の生理学的・進化学的意義、また機能構造解析および有用化合物生産への応用に関して議論する。